トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、工業利用を目的とした汎用バーナーとしては世界初*1となる、水素を燃料とするバーナー(以下、水素バーナー)を、中外炉工業株式会社の協力により新開発し、本日より愛知県豊田市の本社工場鍛造ラインに導入しました。

従来、水素バーナー内で水素が激しく燃焼することで(=酸素と急速に反応し)、火炎温度が高温になり、環境負荷物質であるNOxが多く生成されるために、水素バーナー実用化は困難でした。新開発した水素バーナーは、水素を緩やかに燃焼させる2つの新機構を導入し、CO2排出ゼロに加えてNOx排出を大幅に低減*2させ、高い環境性能を両立しました。

  1. 水素と酸素が混ざらないようにする機構

水素と酸素が完全に混合した状態で着火すると、激しく燃焼し火炎温度が高くなります。水素と酸素をバーナー内で並行に流し、完全に混合していない状態で緩慢に燃焼させ、火炎温度を下げています。

水素と酸素が混ざらないようにする機構

  1. 酸素濃度を下げる機構

バーナー内の酸素濃度が高い状態で着火すると、激しく燃焼し火炎温度が高くなります。水素をバーナー内に供給するパイプの中腹に小さな穴を空け、少量の水素と酸素をあらかじめ燃焼(予燃焼)させ、酸素濃度を適正値に(19%)下げた状態で主燃焼が始まるようにして火炎温度を下げています。

酸素濃度を下げる機構

トヨタは、「トヨタ環境チャレンジ2050」の「工場CO2ゼロチャレンジ」達成に向け、革新技術の導入や日常の改善活動に加え、工場で使用するエネルギーを再生可能エネルギーや水素に置き換えていく予定です。

本技術によって、現在国内工場で1,000台以上導入され、工場設備の中でもCO2排出量が多い大型都市ガスバーナーを水素バーナーに置き換えることが可能です。トヨタの「工場CO2ゼロチャレンジ」実現に向けて、水素バーナーを他工場へ順次展開していく予定で、トヨタグループ会社内でも導入が検討されています。

これからも、産業分野での水素利用を進め、需要拡大に貢献することで、水素社会の実現や産業分野の低炭素化を目指します。

*1 2018年11月8日時点。トヨタ調べ。
*2 同規模の都市ガスバーナーレベル以下。

以上

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