トヨタはいつの時代にもリアルにこだわり、クルマを作って参りました。どんな技術でも原理原則を追求し、自らやってみることを基本姿勢としてきました。

ソフトウェアやコネクティッド技術も同様です。リアルなクルマに、ソフトウェアの力を掛け合わせて、クルマの価値をさらに高めて行きたいと思います。

Chief Product Integration Officer 山本圭司のプレゼンテーションをご覧ください。

トヨタ自動車の山本でございます。

本日はご多用の中、お集まりいただき有り難うございます。

今日のクルマづくりは、自動運転、電動化、つながる化など、様々な領域に目を向けなければならない時代を迎えています。

また、ソフトウェアが商品力を左右する重要な要素となり、ソフトウェアを得意とする様々なプレイヤーが自動車業界へ参入しているのは、皆さまご存じの通りです。

本日は、「トヨタはこれからのクルマづくりにどう挑もうとしているか」、という点を中心に、お話をさせていただきます。

まず初めに、クルマの開発の歴史を振り返りたいと思います。

今日の様に、経済を支える基幹産業となるまでの過程で、クルマは変わり続けてきました。

オイルショックや排ガス規制、交通事故の増加、高齢化などの社会課題に直面しましたが、その都度クルマは進化し、社会課題を解決してきました。

例えば、鉄に加えアルミや樹脂が採用されることで、軽量化が進み、メカニカルが電子制御に変わることで、燃費性能や安全性能が向上し、快適性も格段によくなり、クルマの価値そのものも向上しました。

現在では一台のクルマに50個を超えるECUが搭載され、1,000個もの半導体が使われています。

さらには、社会はインターネットの時代に突入し、つながることが当たり前になりました。

クルマにも通信機が搭載され、電子化はさらに進み、ソフトウェアのサイズも大規模になっています。

さて、トヨタにはクルマづくりを行う上で、長年に渡り引き継がれてきた基本姿勢があります。

それは、原理原則にこだわり、クルマづくりにおいて重要な要素は、先ずは自らやってみて手の内化をするということです。

例えば、トヨタは創業当初から必要に応じ様々な生産設備を内製化して来ました。

余談になりますが、先のルネサスエレクトロニクス様の火災復旧では、私達の工機部門が壊れた設備の図面を複製し、一から製作するというお手伝いをしました。

また、90年代にはECUの内製設計にも取り組み、電子工場、半導体工場、電池工場を立ち上げました。これらが、プリウスの商品化につながったことは言うまでもありません。

近年では、FCスタックや、水素タンクなど、水素関連技術の手の内化を進め、現在は水素エンジンへの応用にもチャレンジしています。モリゾウこと社長の豊田が自らハンドルを握りレースに参戦していることは、皆さまご存じの通りです。

この様に、トヨタはいつの時代にもリアルにこだわり、クルマを作って参りました。原理原則を追求し手の内化を進めることは、トヨタの基本姿勢であることが、お分かりいただけたと思います。

さて、CASEの時代、私達が注目していること、それは携帯電話の変遷です。ショルダーフォンがフィーチャーフォンに変わり、スマホへと進化してきた中で、電話というコモディティ化された商品が情報と連携することで、新たな体験価値を生み、あっという間に世界に広がりました。それを支えているのがソフトウェアとコネクティッド技術です。

クルマも同様に情報との連携を進め、ヒト、モノ、コトの移動を通じて、お客様へ新たな体験価値や感動を提供する事を目指して参りたいと思います。

その為に、ソフトウェアやコネクティッド技術も手の内化を進めて参ります。

だからこそ、TRIやWoven Planet、Toyota Connectedを設立し、e-Paletteの開発や、実験場としてのWoven Cityの建設、そしてArene PFの開発などにも取り組んでいる訳です。

それでは、ここからはコネクティッドやソフトウェアに関する取り組みをご紹介したいと思います。

トヨタはこれまでに、日、米、欧、中を中心に1,000万台に及ぶレクサス車、トヨタ車をコネクティッド化しました。

トヨタが目指すコネクティッドカーとは、クルマを単にインターネットに繋げることではありません。ヒト、モノ、コトの移動を通じて、お客様に感動体験を提供すること、トヨタが大切にしたいのは、人中心の発想、つまりヒューマンコネクティッドです。

その為に、お客様との接点となるコールセンター、そして様々なサービスを提供するトヨタスマートセンター、クルマから集まる車両情報を利活用する、トヨタビッグデータセンターを自らが構築し、様々なサービスを提供しています。またモビリティサービスを提供する為のMSPFを構築し、サービス事業者様との連携も進めています。

東京オリンピック・パラリンピックの選手村に導入したe-Paletteで目指したことは、クルマと情報の融合、街と協調するモビリティです。すでにオリンピック開催期間中に、34,000人ものアスリート、大会関係者の方々にご利用いただきました。e-Paletteは自動運転が可能な電気自動車ですが、私達が開発していますのは、自動運転技術やBEV技術ばかりではありません。私達は、TPSの考え方に基づき、e-Paletteを効率的に、そして無駄なく、正確に運行するための、運行管理システムを開発しました。クルマを遠隔で監視し、周辺環境や乗客数に応じてジャストインタイムで運行を行うもので、いわゆる街と協調したモビリティです。これらすべてがトヨタが培ってきたMSPF上で実現されたものです。

今後、これらの取り組みが、ロボタクシー用途として米国で開発中のシエナAutono-MaaSにも応用されると共に、MSPFは自動運転車に限らず、通常の商用車や物流にも活かされて行くと思っています。

この様に、コネクティッドカーやつながる技術は様々な領域へと応用され、つながる先も、ヒト、クルマ、街、そして社会へと広がって行きます。トヨタはそこから集まるお客様の情報、クルマの情報を大切に扱い、お客様の幸せのために、社会の発展のために活かして行くと共に、移動をコアとした体験から新たな価値を創造して参ります。

まもなく販売を開始する新型NXは、その通過点でもあります。

実は、マルチメディアシステムとコネクティッドサービスは4年ぶりのフルモデルチェンジを迎え、新型NXに搭載されます。

私達がこだわったのは、情報の現地現物、地域に根差した製品開発です。

国や地域によって、道路事情やクルマの使われ方は異なり、グローバルワンパッケージで地域に展開するのは限界があります。

地域に合った製品を考えるのに、コネクティッドの技術が役に立ちます。新型NXでは、お客様や社会の期待にお応えする為に情報の現地現物と言う考えの下、地域ごとの開発に取り組みました。

もちろん新しいNXは、OTAによるソフトウェアのアップデートも可能です。

刻々と変わるお客様や市場のニーズを反映したクルマづくりを目指して参ります。

また、地域毎の特徴をデータとして正しく理解することで、CNにも貢献して参ります。

具体的には、クルマの省エネ化、省資源化を進めて参ります。

少し話題がそれますが、市場のコネクティッドカーから、日本の場合、HEVは走行時間の半分でエンジンが停止しており、それがPHEVでは80%にもなることが分かります。

つまり、HEV/PHEVは、エンジンとモータを切り替えて制御を高度化することで、さらに環境に優しいクルマへと進化させ、HEV/PHEVの選択肢を広げることが出来ます。

具体的には、走る場所、走る時間などを考慮して、リアルタイムでHEV制御を変えるというアイデアがあります。この技術のことをジオフェンス技術と言いますが、この実用化を進めて参ります。

また情報の現地現物で集めたデータで、クルマの健康状態を電子カルテとして見える化します。

カルテに基づき適切なメンテナンスを行うことで、クルマを長くお使い頂くと共に、バッテリーのリサイクル性やリユース性を高め、省資源化や循環型社会に貢献します。

ここからは、これからの自動車産業、クルマの可能性についてお話をしたいと思います。

トヨタが目指すサステイナブル&プラクティカルなクルマづくりとは、時代の要求や環境変化に柔軟に対応し、クルマの新たな価値をあらゆるお客様に「量産」という手段でお届けする事です。

トヨタでは量産のことを号口と言いますが、私は、根っからの号口屋です。新しいアイデアを製品化する仕事が大好きです。

若いころは、朝から晩まで実験室にこもり半田付けをしたものです。

私が担っているCPIOの役割は、トヨタが培ってきたリアルなクルマづくりに、世界中で走るコネクティッドカーの情報とソフトウェアの力を足し合わせ、新しいアイデアを、量産に導くことです。

そして、もっと良いクルマづくりを地域に根差したものにします。

私は、ソフトウェアは、アイデアをタイムリーに製品化する実現力を持っていると思います。

その為に、Woven Planetやトヨタコネクティッド、海外の開発拠点と連携し、グローバルで3,000人規模のソフトウェアの開発体制を構築し、全世界でソフトウェアの開発を進めて参ります。

グループ全体では18,000人の規模になると思います。

もちろんトヨタ自動車にも、ソフトウェアの内製開発を担うチームを強化して参ります。

そして、Woven Planetで開発を進めている車両ソフトウェアプラットフォームAreneは、ハードとソフトを分離し、現在のすり合わせ開発を見直します。

これにより、ソフトウェア開発はより生産的になり、品質も向上し、開発のリードタイムも短くなります。

Areneにより、お客様に新しいアイデアをいち早くお届けすると共に、製品化の醍醐味を共有できる仲間を世界中に増やして行きます。

クルマの用途は、乗用車、MaaS、商用車と幅広く、展開される地域も拡大しています。ニーズはますます多様化し、クルマの使われ方も千差万別です。そこには、人々の困りごとや社会の課題、そして笑顔や喜びもあり、必要とされる技術開発があります。

テクノロジーにイノベーションが合わされば、さらにクルマの価値は高まって行くと思います。

自動車産業はまだまだ成長産業です。

私は、これからのクルマづくりにわくわくしています。

本日のまとめとなります。

ヒトの移動と地域社会との共生を成し遂げないといけないのが自動車産業だと思います。未来のために、そして子供たちの為にトヨタが目指すのは、「全ての人に移動の自由を」そして「感動体験の提供」。それは「幸せの量産」に根差したものです。

トヨタはいつの時代でも、手の内化にこだわりリアルにクルマを作ってきました。

移動できるからこそ体験できる感動を、リアルなクルマとソフトウェアの力とを掛け合わせ高めて行きたいと思います。

そしてクルマの枠を超え、街づくりや社会全体のプラットフォームづくりにも関わり、社会の発展に貢献して参りたいと思います。

これからも、リアルな世界でクルマづくりに挑むトヨタを応援頂けますと幸いです。

ご清聴有り難うございました。

以上

Sustainable Development Goals

トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。

SDGsへの取り組み
https://global.toyota/jp/sustainability/sdgs/

今回の取り組みを通じて特に貢献可能なSDGsの目標

  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任 つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を

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