2020年09月17日
デンヨーとトヨタ、水素で発電する燃料電池電源車を共同開発し実証運転を開始-CO2排出量削減を通じ環境に配慮、連続約72時間給電などにより災害対応にも貢献-
トヨタ自動車株式会社
デンヨー株式会社(以下、デンヨー)とトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、水素を使って発電する燃料電池電源車(以下、FC電源車)を共同開発し、今後、実証運転を通じて実用化に向けた取り組みを進めていきます。本取り組みは環境省のCO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業の採択を受けて実施しております。
地球環境問題を経営の重要課題の一つとして位置づけて積極的な取り組みを進めているデンヨーとトヨタは、温暖化防止に向けたCO2排出量の削減や大気汚染防止のためには、商用車・産業車両の燃料電池化が必要であると考えています。また、電動車が社会システムの中において提供できる重要な価値の一つとして、災害発生時や屋外イベントなど様々な場面において、必要な時に必要な場所で大量の電力を供給することができる機能が挙げられます。両社はこのような可能性をより一層追求するため、このほど、環境性能に優れたFC電源車を共同で開発しました。
- FC電源車(完成車両イメージ)
現在使用されている電源車の多くは、走行・発電といった動力源にディーゼルエンジンを用い、化石燃料をエネルギーとしているため、走行時・発電時に温室効果ガスのCO2や窒素酸化物(NOx)などの環境負荷物質を排出します。これに対しFC電源車は、動力源を燃料電池にすることにより環境負荷物質の排出がゼロになるとともに、連続約72時間の給電や発電の際に生成される水のシャワーなどへの活用が可能となります。
今回、共同開発したFC電源車は、トヨタの小型トラック「ダイナ」をベースに、動力源には燃料電池自動車(FCV)MIRAIに搭載されているFCシステムを活用し、電力供給のためにデンヨーが環境省補助事業※1により開発したFC専用給電機器を搭載しています。また、長距離移動・長時間発電を可能とするように、水素を約65kg(水素タンク27本)搭載しています。
2020年9月より実証運転を行い、従来型のエンジン式発電機と比べて、様々な負荷機器への影響、CO2の排出削減量などFC電源車ならではの効果を検証します。
デンヨーは、企業の社会的責任として環境と調和した事業活動を積極的に推進し、移動式(可搬形)発電機のトップメーカーとして、燃料電池式製品の開発にも積極的に取り組んで参ります。
トヨタは、SDGs※2の目指す持続可能な社会づくりに貢献するための活動の一つとして、走行中CO2排出量の大幅削減を掲げており、今後も電動車の技術開発と普及促進に尽力していきます。
FC電源車の基本スペック
車両 | 全長×全幅×最高地上高 | 6.380×2.220×2.240m |
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総重量 | 7.265t | |
搭載水素 | 高圧水素タンク本数 | 27本 |
タンク内容積 | 1,626L(リットル) | |
水素貯蔵量 | 約65kg | |
給電機能 | 定格出力 | 三相出力・単相出力合計8.5kW |
供給電力量 | 約612kWh | |
定格電圧/相数/周波数 | AC200V・AC100V/三相4線・単相3線/50・60Hz | |
連続発電時間(発電時最大出力8.5kW) | 約72時間 片道約100km・往復約200kmの場所まで行って給電する場合を想定し、往復の走行用水素量を確保した上での発電 |
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生成水(最大発生量) | 約450L(リットル) |
※1 | 環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」 |
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※2 |
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以上
~マイナスからゼロへ、ゼロを超えた新たな価値を~
トヨタは、「地球という美しい故郷(Home Planet)を次世代に引き継ぐ」ために、社会や個人が抱える様々な課題の解決(マイナスをゼロにする)に取り組むだけではなく、ゼロを超えた新たな価値の創出・提供を目指し、「回答のない未来へ弛まぬ挑戦」を続けていきます。
- BEYOND ZERO
- https://global.toyota/jp/mobility/beyond-zero/
トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。