今回、私たちは「スポーツを通じた平和で差別のない社会」、「すべての人が参加できる社会」を実現するというオリンピック・パラリンピックの精神を胸に、聖火ランナーを務めました。
第一走者を務めたのが「チームスペシャルオリンピックス※1」です。このチームは、スペシャルオリンピックス日本の三井嬉子会長をリーダーに、その活動をサポートする様々なジャンルのスポーツ選手で構成されています。
「すべての人に開かれた垣根のない世界の実現を願っています。誰もが参加できるスペシャルオリンピックス・ユニファイドスポーツはそのインビテーションなのです」スペシャルオリンピックス国際本部のティモシー・シュライバー会長のこの言葉が、私の胸にずっと残っております。
私は学生時代、グランドホッケーに出会い、ホッケーに明け暮れる毎日を過ごしました。「豊田」という名前に生まれた私は、相手から先入観をもって見られることが多く、常に「素の自分を見てもらいたい」という気持ちがありました。しかし、スポーツをしている時だけは、「人間 豊田章男」として、一人のチームメイトとして接してもらえたのです。
様々な個性をもった人が同じ目標に向かって競い合い、リスペクトしあう世界を築くことができるのがスポーツの力だと思います。スポーツとの出会いが、私自身の生き方、考え方を変えるきっかけとなり、その後の人生も変わったと思っております。
私にとって、「チームスペシャルオリンピックス」から受け継いだ聖火は、まさに「垣根のない世界を実現するためのインビテーション」のように思いました。このインビテーションを、私がつないだ走者が高校一年生の鈴木俊介さんです。
鈴木さんのおじいさんは、トヨタの元陸上部員で、1964年の東京オリンピックで聖火ランナーを務められたご経験をお持ちです。鈴木さんは、足が不自由であっても、テレプレゼンスロボットを使って聖火リレーに参加できることを知り、今回、聖火ランナーになられました。
鈴木さんが大のラリーファンであり、大のモリゾウファンであることを知った私は、2020年3月に彼とお会いし、そこで「おじいさんにも一緒に伴走してもらい、本番でもトーチキスをしましょう」という約束を交わしました。
本日、鈴木さんとトーチキスを交わした時、「1年越しで約束を果たせた」という安堵感と同時に、未来の技術が「垣根のない世界」の実現にお役に立てるということを実感いたしました。
「すべての人に開かれた垣根のない世界を」「すべての人に移動の自由を」。この想いを込めて、私たちは聖火をつながせていただきました。
※1 | スペシャルオリンピックスは、知的障がいのある人たちに日常的なスポーツトレーニングと、その成果発表の場である大会、競技会を提供し、社会参加を応援する国際的なスポーツ組織です。トヨタはその理念に共感し、2018年からグローバルパートナーを務めております。 |
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トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。