- 世界63の国と地域から集まった2,068作品の中から、サステナビリティ、ダイバーシティなど異なる社会課題に向き合う受賞4作品が決定
- 受賞者はトップクリエイターとのメンタリングプログラムを経て、最終プロトタイプを今春に公開
- 新たな取り組みとして、オンライン投票によるLEXUS DESIGN AWARD 2023 Your Choice Awardを実施予定
LEXUSは、「Design for a Better Tomorrow(より良い未来のためのデザイン)」のテーマのもと、対話と共創を通じて次世代を担うクリエイターの支援・育成を目的とした国際デザインコンペティション「LEXUS DESIGN AWARD 2023」の受賞4作品を発表しました。
通算11回目を迎える本アワードに対し63の国と地域から2,068点の作品応募があり、豊かな社会とより良い未来を創造するためにLEXUSが掲げる3つの基本原則「Anticipate(予見する)」、「Innovate(革新をもたらす)」、「Captivate(魅了する)」、それに加えて「Enhance Happiness(そのアイデアがいかに人々に幸せをもたらすか)」といった観点から、4作品が選出されました。LEXUS DESIGN AWARD 2023の受賞作品は、いずれもより良い未来を見据え、サステナビリティ、ダイバーシティなど、それぞれ異なる社会課題にデザインを通じて向き合う提案です。
本アワードの審査員の一人であるパオラ・アントネッリ氏は、次のようにコメントしています。「第1回LEXUS DESIGN AWARDから審査員を務めていますが、世界中の数多の若手デザイナーの、他者を思いやる姿勢と豊かな才能、そしてあふれるエネルギーには、回を重ねるごとに強く心を打たれています。彼らがあらゆることに想いを馳せ、ますます先見の明と現実的な視点を合わせ持つようになることで、デザインの可能性はさらなる広がりを見せるでしょう」
受賞した4組は、世界の第一線で活躍するトップクリエイターと対話を重ねながら、約3ヶ月かけてアイデアをブラッシュアップする貴重なメンターシップの機会を得ます。今年のメンターを務めるマーヤン・ファン・オーベル氏、ジョー・ドーセット氏、スズキ ユウリ氏、スマイヤ・ヴァリー氏の4名とのセッションを重ねながら、賞典の一部である制作支援金を活用して、自身の提案を具現化したプロトタイプ制作に取り組みます。
メンターを務めるマーヤン・ファン・オーベル氏は、「私たちは今、自分たちが生み出したデザインがその先もサステナブルであるかどうかを、常に問われる時代に生きています。これから対話を重ねる受賞者たちにはメンターシップを通じて、そのデザインが未来においても相応しく、実用的かつ実現可能なものであるかという視点を持つことの重要性を、伝えたいと思っています。新進気鋭のクリエイターにとって、LEXUS DESIGN AWARDは今後のキャリアにとって貴重な経験となるものです。メンターとして、彼らが創造力や才能をさらに発揮していくためのプログラムの一端を担うことができるのを、とても楽しみにしています」と、強い想いを語っています。
受賞者がメンターと共につくり上げた最終プロトタイプは、2023年春に公開します。同時に、より多くの方に本アワードの共創パートナーとしてご参加をいただく新たな取り組みとして、オンラインで「より良い未来のためのデザイン(Design for a Better Tomorrow)」と感じた作品に投票していただく、LEXUS DESIGN AWARD 2023 Your Choice Awardを実施する予定です。
約3ヶ月間のメンタリングプログラムを通じて作品がいかに進化するのか、ぜひご期待ください。
LEXUS DESIGN AWARD 2023 受賞作品
作品名Fog-X
空気中の霧を集めて1日に10リットルもの水を確保し、テントにも拡張可能なモバイルデバイス。水不足問題を抱える世界中の乾燥地帯でも、このデバイスを使用して水を確保することができる。
受賞者名パヴェルス・ヘッドストロム(スウェーデン/活動拠点 : デンマーク)
パヴェルス・ヘッドストロムは、デンマーク王立芸術アカデミーにて建築の修士号を取得した後、建築家としてのキャリアをスタート。既存のエコシステムに対して、デザインを通じた包括的なアプローチを探求している。
作品名Print Clay Humidifier
不必要になったセラミックを活用した、電力を必要としないサステナブルな加湿器。3Dプリンターで表面積の多いユニークな形状を作り出すことで、吸水性を高めている。片面がフラットな形状のため、壁や窓際に沿って設置することも、複数を組み合わせて広いスペースに設置することも可能な設計になっている。
受賞者名ジャーミン・リュウ(中国)
ジャーミン・リュウは、日常生活を多角的な視点で見つめる工業デザイナー。中国出身で学士号を取得後、ドイツのフォルクヴァング芸術大学で修士課程を修了した。現在は、異文化とサステナブル・デザインを主なテーマとしている。
作品名Touch the Valley
視覚障がいを持つ人が、触れた感覚を通して楽しみながら地形などを学べる3Dパズル。隣り合うピースの形状を組み合わせていく過程で、パズルに触れた感覚から、その地域のスケールの大きさや雄大な自然環境をイメージすることができる。
- 受賞者名
- Temporary Office
ヴィンセント・ライ(シンガポール/活動拠点 : 米国)、ダグラス・リー(カナダ/活動拠点 : 米国)
ヴィンセント・ライ(シンガポール/活動拠点 : 米国)、ダグラス・リー(カナダ/活動拠点 : 米国)
Temporary Officeは、カリフォルニア大学バークレー校を卒業したヴィンセント・ライとダグラス・リーによるデザインチーム。建築、公共スペース、環境保全、プロダクトデザインなどの境界を越えた様々なプロジェクトに取り組んでいる。歴史に基づく調査と先例を重視ししながらも、合理的かつ遊び心のある方法で、刻々と変化する環境のニーズにデザインを通じて建設的に応えようと努めている。
作品名Zero Bag
水溶性プラスチックに紙状の洗剤を組み合わせた新しい衣料用パッケージ。Zero Bagに入った新しい服をそのまま洗濯することで、パッケージはその特性により溶けて無くなり、不要なプラスチックゴミを減らすことができ、さらに服の表面に付着した化学物質を洗い流すこともできる。
受賞者名パク・キョンホ&ホ・イェジン(韓国)
パク・キョンホとホ・イェジンは、韓国の漢陽大学ERICAキャンパスで産業デザインを専攻する学生。社会問題や環境問題に強い関心を持ち、デザインを通じてユーザー視点で多様な解決策を見出すことを目指している。
LEXUS DESIGN AWARD 2023 審査員プロフィール
パオラ・アントネッリ(Paola Antonelli)
ニューヨーク近代美術館(MoMA)建築・デザイン部門シニア・キュレーター
- © 2016 Marton Perlaki
ニューヨーク近代美術館(MoMA)建築・デザイン部門のシニア・キュレーター兼研究開発部門責任者。デザインが世界に好影響を与えることが普遍的な理解として浸透することを目的に活動している。デザイン、建築、アート、科学、テクノロジーを融合し、見過ごされがちなモノや習慣を含む日々の生活におけるデザインの影響力を追求する。これまでに多数のイベントのキュレーション、本の執筆、世界各地での講演を行う。過去、ハーバード大学やカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校などで教鞭を執った。直近では、人と自然・生態系のバランスの修復をテーマとした「Broken Nature」(第22回ミラノトリエンナーレで開催)や、建築家ネリ・オックスマンのMoMAでの画期的な作品展示会「Material Ecology」、インタラクティブデザインとビデオゲームに関する展覧会「Never Alone」などを手掛けた。現在は、MoMA研究開発部門 サロンのいくつかの新セッションに従事するほか、デザイン評論家のアリス・ローソーン氏と共同でInstagramアカウント@design.emergencyを開設し、新型コロナウイルスの世界的流行におけるデザインの役割をテーマにした活動に取り組んでいる。ローソーン氏との共著「Design Emergency」は2022年の5月に出版された。
カリム・ラシッド(Karim Rashid)
Karim Rashid Inc. デザイナー
- © Nikola Blagojevic / Spektroom
すぐれた先見性を持ち、数多くの作品を世に送り出すカリム・ラシッドは、今日のデザイン界で最もユニークな人物の一人。4,000を超えるデザイン制作、400を超える受賞歴、35カ国以上での事業展開がその伝説を物語る。メソッドやペプシ、アルテミデやヴォンドムの家具、シティバンクやヒューゴボスのブランドアイデンティティ、ラシーやサムスンなどのハイテク製品、ヴーヴ・クリコやクリストフルなどの高級品を含め数多くの注目すべきデザインを手がけている。また、アンブラ社のガルボのゴミ箱やOh!チェアのような実用的なオブジェクトから、フィラデルフィア州のモリモトレストランやベルリンのエヌハウホテルなどのインテリアまで、幅広い作品で数々の賞を受賞。カリムは、レッド・ドットデザイン賞、シカゴ・アテナイオン・グッドデザイン賞、インテリア・デザイン・べスト・オブ・イヤー賞、インダストリアル・デザイン・エクセレンス賞(IDSA)などを複数回受賞している。また、大学や国際会議で度々ゲストスピーカーとして招聘されており、日常におけるデザインの重要性をグローバルに発信している。
サイモン・ハンフリーズ(Simon Humphries)
トヨタ自動車株式会社 Head of Toyota & Lexus Global Design
母国イギリスで1988年にプロダクトデザイナーのキャリアをスタート。その後、日本でも業務経験を重ねて1994年トヨタへ入社。デザインの研究開発にはじまり2002年トヨタ(Vibrant Clarity)/レクサス(L-finesse)のデザインフィロソフィーを策定。その後は先行デザイン、量産車デザインと数多くのデザインを監修、2016年からは欧州デザイン拠点ED2に赴任、拠点長として多くの将来モビリティーデザインの提案を行う。2018年帰任後、デザイン領域全体のヘッドとして指揮を執っている。
LEXUSのグローバルデザインを統括する立場にあり、日本の文化・伝統を取り入れながら人々を魅了するデザインの方向性を構築し、ブランド哲学という形でブランド独自の価値を策定している。プライベートでは日曜大工を楽しみ、100年前の日本農家の復元にも挑戦している。
LEXUS DESIGN AWARD 2023 メンタープロフィール
マーヤン・ファン・オーベル(Marjan van Aubel)
マーヤン・ファン・オーベル スタジオ ソーラーデザイナー
- © Sander Plug
マーヤン・ファン・オーベルは、持続可能な未来のために、太陽光とテクノロジーを融合させたイノベーションを探求するオランダ出身のソーラーデザイナー。自身が代表を務める「マーヤン・ファン・オーベル スタジオ」は、太陽エネルギーを日常生活に取り入れるための創作活動を行い、数多くの受賞歴を持つ。
サステナビリティ、デザイン、ソーラーテクノロジーを融合した未来をつくり上げるための創造を続け、ソーラーデザインを通じて永続的な変化を生み出し、建物やオブジェなどを通じて生活に太陽光発電を取り入れ、誰もが太陽光発電をより身近に感じられるようになることを目指している。代表作に「Sunne」、「Current Table」、「Power Plant」、そして2020年ドバイ万博のオランダパビリオンの屋根などがある。
マーヤンは、太陽光エネルギーへの移行を世界的に加速させるため、Cos、Timberland、Swarovskiなど著名なブランドとのコラボレーションにも取り組んでいる。
ジョー・ドーセット(Joe Doucet)
デザイナー/ジョー・ドーセットXパートナーズ代表
デザイナー、起業家、発明家、クリエイティブ・ディレクターとして、現在アメリカで最も人気のあるクリエイターの一人。
ドーセットはイノベーションや社会課題の解決、美意識にはデザイン思考が有用であると考え、視覚的・技術的にクリエイティブでありながら、メッセージ性を含んだ作風を特長とする。
また、作品に関するデザインや技術で数多くの特許を保有している。ドーセットの作品は、世界中で展示されているほか、ワールドテクノロジーアワードの「デザインイノベーション賞」や、複数の「グッドデザイン賞」などの国際的な賞も数多く受賞。
2017年には、米国スミソニアン協会のクーパーヒューイット国立デザイン博物館による「ナショナル・デザイン・アワード」を受賞。同賞はプロダクトデザイナーにとって最も名誉のある賞と言われている。また、一昨年・昨年DezeenのDesigner of the Yearのファイナリストに選出されたほか、Fast CompanyのMost Important Design Companiesを受賞している。
スズキ ユウリ
アーティスト、デザイナー/ペンタグラム パートナー
- © Nick Glover
スズキ ユウリは、人と音の関係を考察する作品やプロジェクトを通して、音と視覚言語を探求し、ビジュアルとサウンドがどのように進化して個人的な経験を生み出すかを問うアーティスト、デザイナー。これまでに、Tate Britain(ロンドン)、V&A(ロンドン)、Barbican Center(ロンドン)、MoMA(ニューヨーク)など、国内外で個展やグループ展に参加する。
コラボレーションを多く行っており、will.i.amやJeff Millsなど様々なミュージシャンやアーティストと共作しているほか、GoogleやRolandなどの商用クライアントを含め、サウンドとテクノロジーを素材にインスタレーションやプロダクトそして音楽と様々な体験を生み出している。
2018年には、世界的なデザイン事務所ペンタグラムのパートナー(共同経営者)に就任。ロンドンスタジオを拠点として、デザイン、テクノロジー、サウンドの境界を押し広げようと、数々の国際的なクライアントと仕事を行なっている。
スマイヤ・ヴァリー(Sumayya Vally)
建築家/カウンタースペース 主宰
- © Lou Jasmine
スマイヤ・ヴァリーは、数々の受賞歴をもつリサーチスタジオ「カウンタースペース」の主宰。国際的に知られる建築プログラム「第20回サーペンタイン・パビリオン(2020/2021)」のデザイナーに、史上最年少で任命された建築家でもある。
サーペンタインで新しくスタートしたフェローシッププログラム「Support Structures」の立ち上げにも携わっている。本プログラムは、芸術と社会正義、芸術とその保存、芸術とエコロジーなど複合的な要素を持つ作品を通じて、コミュニティをサポートするアーティストなどを支援している。
2022年には世界経済フォーラムで、世界で最も有望なアーティスト、研究者、起業家、活動家、政治家などで形成されるヤング・グローバル・リーダーズの一人として選出されているほか、今後の建築界における規範を築き上げ、未来を切り開くデザイナーとして「TIME 100 NEXT LIST」の一人にも選出されている。近年は、国際モニュメント基金のメンバーとして複数の委員会に参加し、芸術に関する最新の専門知識(技術)の支援を通じて、世界中の歴史的建造物や文化遺産を革新的な方法で未来に残すことに取り組んでいる。
現在ヴァリーは、2023年にサウジアラビアのジッダで初めて開催されるイスラム・アート・ビエンナーレのアーティスティック・ディレクターとして、キュレーションにも取り組んでいる。
LEXUS DESIGN AWARDについて
2013年に創設されたLEXUS DESIGN AWARDは、世界中の新進気鋭のクリエイターに焦点を当てる国際デザインコンペティションです。本アワードでは、より良い社会に貢献するデザインを広く募り、選出された4組の受賞者は世界の第一線で活躍するクリエイターの指導を受けながら、共にDesign for a Better Tomorrow(より良い未来のためのデザイン)を追求、自身のアイデアのプロトタイプ化に取り組みます。また、受賞者がメディアを通じてアイデアを世界中に広く発表する機会も設けられており、その後のキャリア形成にも貢献しています。
以上
トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。