2024年10月02日
悩んでいる方必見!自分にピッタリなクルマ選びのコツ
この記事は以下のような方へお勧めです。
- 障がいによりお体が不自由な方で、運転免許の取得を考えられている方
- ご自身にピッタリなクルマを探されている方
この記事のポイント
- 生活全般を見返してみて、必要なスペックを考える
- ご自身のお体に合ったオプションを少しずつ揃える
- 改造はクルマとの相性を踏まえて、販売店や補助装置メーカーへ相談する
- 購入前に実際に試乗してみる
突然ですが、皆さんはどんなクルマに乗ってみたいですか?小回りの利くコンパクトカーで便利なカーライフ、家族でミニバンに乗っておでかけ、思い切りこだわり抜いたスポーツカーでサーキットへ。クルマはあらゆる可能性と喜びを届けてくれます。
一方で、たくさんの車種の中から自分にピッタリのクルマを探すことは意外と大変で、中には行き詰まってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回はトヨタの特例子会社であるトヨタループス株式会社で働く障がいのある車いすユーザー4名に、後悔しないためのクルマ選びのコツ、さらにはカーライフの楽しみ方を聞きました。
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- 安川さん
先天性多発性関節拘縮症
(両手関節機能全廃、体幹機能障がい)
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- 中垣さん
胸椎6番損傷(下肢障がい)
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- 尾島さん
脳性麻痺(体幹機能障がい)
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- 山田さん
腰椎1番損傷(下肢障がい)
クルマは日々の選択肢を増やしてくれる
-本日はよろしくお願いします。まず初めに、皆さんがクルマを購入されたきっかけを教えてください。
- 尾島
- 前職は就職のために運転免許の取得が必須でした。そのため、学校卒業後は運転免許を取得して通勤目的でクルマも購入しました。やはりクルマを持っていると就職先など人生の選択肢が広がると思います。
- 安川
- 僕の場合は、自分の力で自由に移動したくてクルマを購入しました。それまでは移動は親の送迎頼みでしたが、友達と遊ぶときも好きな時間に好きな場所へ行くことが難しいことがありました。クルマを購入してからは、「自分のタイミングで自由に移動できる」ようになり、やはり生活で大きな変化に繋がりましたね。
クルマ選びは自分との話し合い
-やはり自力で行きたい場所に行けることで、日々の選択肢が増えて世界が広がりますよね。クルマを購入する際に迷ったことや意識したことはありますか?
- 山田
- 私はプライベートで車いすバスケをしています。そのため、クルマ選びの際はとにかく荷物をたくさん積めることを意識しました。バスケをしに行くときは、普段の車いすに加えて、車いすバスケ専用の車いすも必要なので、今は2台車いすが積めるミニバンのエスティマに乗っています。
クルマ選びに迷ったときはご自身の生活全般を見返してみて、クルマに必要なスペックを考えると良いですね。
- 中垣
- 僕の場合は胸椎6番を損傷していて胸から下が動かせない状況です。僕はクルマが大好きでプライベートで何台か所有していますが、セダンやスポーツカーなど、座席の低いクルマを選んでいます。逆にエスティマのような大型のクルマやSUVなどは座席が高くて車いすからの乗り降りが難しいですね。同じ車いすユーザーでも、障がいの状況によって乗りやすいクルマの選択肢が変わってくるので、購入時は実際に試乗することが大事だと思います。
- 車いすから車への乗り込み風景
車いすとクルマ(シート)の隙間をクッションで埋める工夫をしている
- 尾島
- 私は小回りの利く運転しやすい車であることを一番重視しました。あとは、車いすを積み込みやすいようにスライドドアのクルマを選びました。
- 手動運転装置とステアリンググリップ
手動運転装置でアクセルやブレーキなど、運転に必要な操作を手元で行える
クルマの改造でいうと、私は杖を使って歩行をすることもできますが、クルマには手動運転装置とステアリンググリップを付けています。主に車いすを使用される方や低身長の方などがご使用されているもので、障がいの特性に合わせた装置を補助装置メーカーで購入しました。それと、トヨタのウェルキャブシリーズの「車いす収納装置」というものをオプションで付けています。
オプションを検討するときは、最初から無理に100パーセントで揃えようとせず、ご自身のお体に合ったオプションを少しずつ選ぶと良いと思います。
- 安川
- 僕はオートボックスという車いすをクルマの上に積む機械を付けています。オートボックスは便利なのですが、一つ難点があって、ボックスの分車高が高くなってしまいます。そのため、車種によっては立体駐車場に入れなくなってしまいます。
クルマを購入する際は、ご自身が必要なオプション改造とクルマの相性を踏まえて、販売店や補助装置メーカーへ相談すると良いと思います。
- 作動中のオートボックス。車いすを車の上に搭載できる
「自分の力で、好きなときに、好きな場所に行ける」よろこび
-皆さんご自身のライフスタイルや障がいの状況を踏まえてクルマ選びをされたんですね。実際にクルマを買って良かったと思うことはありましたか?
- 安川
- 趣味の海釣りを自分のペースでガッツリ楽しめるようになったことです。公共交通機関ではそもそも辿り着くことが難しいし、釣り竿などの重い道具を持って行くとなると大変です。自分の好きなように趣味を思う存分楽しめることは、クルマを買ったからこその醍醐味だと思います。それから、遠方の旅先に自力で行けるようになったのは嬉しいですね。先日は愛知県から四国まで自分の運転で観光してきました。四国をぐるっと一周観光できたことはとても大切な思い出です。
- 山田
- 遠方や公共交通機関がないような場所でも、クルマならば色んなところに行けることはやはり便利ですよね。私がクルマで出かけて特に印象に残っている場所は岐阜県の白川郷です。以前仕事で訪れたのですが、自然が豊かでとても落ち着く良い場所でした。今度はプライベートで友人と男旅なんかしてみても楽しそうだと思っています。
- 中垣
- 僕の場合は、何と言っても「行きたいところへ自力で行けるようになったこと」です。僕は田舎住まいで公共交通機関が限られている場所に住んでいます。そのため、クルマが無かったら通勤もできないし、日常生活もままならないのが実情です。僕は中途障がいで車いすの生活をしていますが、車いすを使用する障がい者にとって「自由に移動する」ということは思っていた以上に高いハードルなのだと、自分が障がい者になって初めて知りました。大袈裟ではなく、クルマがあったからこそ本当に人生が大きく変わったと思っています。今は趣味のサーキットや釣りなど、クルマを相棒に様々なことにチャレンジしています。
開発協力のために、自らがハンドルを握り千葉県袖ヶ浦へ出向いた。
- 尾島
- 実は私は運転にあまり自信がなく、運転するときは凄く緊張してしまうんです。それでも、クルマを自分で運転できるようになって、自分の力だけで気軽に自由に移動できるようになったことを考えると、やっぱりクルマを買って良かったなと思います。
趣味のカフェ巡りや、お友達と3人でサービスエリアめぐりをしながら愛知県から関東のテーマパークまで出かけたことは一番の思い出です。
今回は、後悔しないためのクルマ選びのコツや実際のカーライフの様子などを4名の車いすユーザーにお伺いしました。障がいの度合いやライフスタイルによってピッタリなクルマは異なります。
今回の内容を参考に、ご自身にピッタリな相棒を見つけてみませんか?
執筆者
トヨタ自動車株式会社 社会貢献推進部
参考情報
トヨタループス株式会社は、これまで施設や労働環境の点から就労に困難があった方にも安心して働いていただけるよう配慮された、トヨタ自動車の特例子会社です。