「自分以外の誰かのために」、その想いを実現する「TPSを基軸とした現場力」

  • トヨタのモノづくり、TPSの原点は、トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎、さらにはトヨタグループ創始者である豊田佐吉にまでさかのぼります。佐吉は「毎晩、夜なべをして機織り仕事をする母を助けたい、少しでもその仕事を楽にできないか」との想いから人力織機を開発、その後トヨタグループの礎となるG型自動織機の開発へと繋がっていきました。
  • 佐吉の息子である喜一郎が設立した豊田自動織機 自動車部(現 トヨタ自動車)は、創業時は小さな企業に過ぎませんでした。当時、材料も資金も十分でなかった中、自働化とジャストインタイムの二つの考え方を導入し、後にトヨタ生産方式(TPS)と呼ばれる、人が作業をしやすい、人の力を最大限活かせる「人中心のモノづくり」の基盤をつくりあげました。
  • 「自分以外の誰かのために」という想いや、TPSに基づく「人中心」のモノづくりの現場は、今のトヨタにも脈々と受け継がれています。

スタートアップスタジオ(貞宝工場)

  • トヨタでは、創業以来、同じ想いを共有した仲間が現場に集まり、知恵を出し合い、創意工夫を重ね、高い技能を通じて新たなモノづくりを生み出し、量産化してきました。
  • 2021年、貞宝工場の一角にスタートアップスタジオを開設しました。
  • モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジに向け、高まる新たなモノづくりニーズに素早く対応するため、メンバー同士が闊達に意見交換を行えるラウンジと、そのすぐ横にモノづくり工房を設置し、アイデアをスピーディに具現化し、試作開発、量産技術開発に取り組める環境を整備しました。そこでの取り組みの一例として、ハイブリッドモーターの手作りの試作品を紹介しました。
  • また、「匠工房」と呼ばれる匠の板金技能を進化させて魅力的な商品を生み出す活動も行っています。匠と後輩が一緒になって設計図のないところから材料の限界までチャレンジしながら創作物を制作することで、その技を継承しています。この取り組みが、新たな商品づくり、人づくりに活かされています。
  • スタートアップスタジオ(貞宝工場)
  • スタートアップスタジオ : HEVモーター(貞宝工場)
  • スタートアップスタジオ : 匠工房(貞宝工場)

モノづくりの原点である匠の技(明知工場)

  • トヨタには「匠」と呼ばれる、高い技能を持つモノづくりのプロフェッショナルが多数在籍しています。匠の技能は、ロボットではできない繊細な作業や高品質な製品仕上げでその真価を発揮します。
  • 今回、一つの例として、レースで勝つために求められる厳しい性能要求に応える匠の技を公開しました。モータースポーツで使われる超高性能エンジン部品の非常に複雑な内部構造は、中子(なかご)を用いて成形されており、匠の造形技術による1g単位での調整によって具現化されています。匠のアルミ鋳造技術により実現した超高性能エンジンは、レースの現場で鍛え上げられ、そこで得られた知見は、その後、量産車にも反映されます。トヨタの考える、モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりの裏には、匠の技能が密接に関わっています。
  • モノづくりの原点である匠の技 : MS用エンジン(明知工場)
  • モノづくりの原点である匠の技(明知工場)

クルマの個性を高める匠の加飾技術(元町工場)

匠の技・加工技術の進化により、これまで困難とされてきた高い意匠性と機能性を実現できるようになりました。量産車でありながら、お客様1人1人のお好みに合わせた、個性のあるクルマをお届けしたいと考えています。今回、取り組み事例をいくつか紹介させて頂きます。

ピアノブラック調バンパーの塗装レス化技術

  • 匠の技で鏡のように傷一つなく均一に金型を磨き上げることで、塗装なしの素材本来の色で、艶感のあるピアノブラックカラーのバンパーを量産できるようになりました。この塗装レス技術により生まれたバンパーは、クラウンスポーツより実車に導入されます。
  • 塗装が不要になることで、塗装作業で発生するCO2排出を削減できるため、工場のカーボンニュートラルにも貢献します。また多少のキズはふき取りで落ちるなど、キズ補修性も向上しました。
  • ピアノブラック調バンパーの塗装レス化技術(元町工場)
  • ピアノブラック調バンパーの塗装レス化技術(元町工場)

樹脂バンパーのインクリメンタル成形技術*1

匠が板金手加工する技を応用したインクリメンタル成形技術を、樹脂バンパーに対して世界で初めて適用しました。バンパーに追加の加工を施すことで、シームレスなデザインと、空力性能を向上させたカナード*2一体バンパーを実現しています。今後、本技術を活用して、さらなるデザイン・機能の広がりをお客様に提供していきたいと考えています。

*1
インクリメンタル成形技術
棒状の工具を連続的に材料に押し付けて成形する工法。従来の金属のみへの適用から、新たに樹脂への適用工法を開発しました。
*2
カナード
自動車のエアロパーツの一種。ボデー周りの空気の流れを制御するためのパーツ。通常は別部品としてバンパーに取り付けられます。
  • 樹脂バンパーのインクリメンタル成形技術(元町工場)
  • 樹脂バンパーのインクリメンタル成形技術(元町工場)

シャープなキャラクターラインを成形するレーザー加工技術

クルマのボデーには、デザインの魅力を高めるためのキャラクターラインと呼ばれる線があり、プレス成形で造られます。しかし、形状・部位によっては、プレス成形でシャープな線を造ることが困難な場合があります。その課題を解決するため、プレス成形後に追加でレーザー加工をすることにより、シャープなキャラクターラインを成形する技術を開発しました。これまでのレーザー加工技術の蓄積を活かし、レーザーの出力を微調整しながら、線の通りや消え方の細部まで拘り抜いたキャラクターラインを実現し、デザイン性の高いクルマ作りに貢献しています。

  • シャープなキャラクターラインを成形するレーザー加工技術(元町工場)
  • シャープなキャラクターラインを成形するレーザー加工技術 : センチュリー(元町工場)

精巧な槌目模様を入れる匠の板金性能

試作車づくりを通じて継承し続けてきたハンマーによる板金技能を活かし、一品一様な手作りのスカッフプレートを9月6日発表のセンチュリー新モデルの用品として提供を開始します。薄いステンレス板を歪ませる事なく、材料の伸びを意識しながら数千点打刻していく技能により、「柾目」と呼ばれる木の模様を表現しております。

  • 精巧な槌目模様を入れる匠の板金性能(元町工場)
  • 精巧な槌目模様を入れる匠の板金性能(元町工場)
BEYOND ZERO

~マイナスからゼロへ、ゼロを超えた新たな価値を~

トヨタは、「地球という美しい故郷(Home Planet)を次世代に引き継ぐ」ために、社会や個人が抱える様々な課題の解決(マイナスをゼロにする)に取り組むだけではなく、ゼロを超えた新たな価値の創出・提供を目指し、「回答のない未来へ弛まぬ挑戦」を続けていきます。

BEYOND ZERO
https://global.toyota/jp/mobility/beyond-zero/
Sustainable Development Goals

トヨタは、革新的で安全かつ高品質なモノづくりやサービスの提供を通じ「幸せを量産する」ことに取り組んでいます。1937年の創業以来80年あまり、「豊田綱領」のもと、お客様、パートナー、従業員、そして地域社会の皆さまの幸せをサポートすることが、企業の成長にも繋がると考え、安全で、環境に優しく、誰もが参画できる住みやすい社会の実現を目指してきました。現在トヨタは、コネクティッド・自動化・電動化などの新しい技術分野にも一層力を入れ、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。この変革の中において、引き続き創業の精神および国連が定めたSDGsを尊重し、すべての人が自由に移動できるより良いモビリティ社会の実現に向けて努力してまいります。

SDGsへの取り組み
https://global.toyota/jp/sustainability/sdgs/

今回の取り組みを通じて特に貢献可能なSDGsの目標

  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • つくる責任 つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を

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